完登者が思う、日本百名山を制覇する為の思考と計画

日本百名山完登の為の思考

日本百名山は、基本的にすべて一般登山道から登れる山です。登ること自体は簡単です。
しかし、効率よく行きたい!なるべく短期間で達成したい!という場合はそう簡単ではないと思います。
この記事では、そんな方向けに、実際3年1ヶ月ほどで完登した筆者が実践してきた、考え方や計画、準備などのノウハウをお伝えします。
筆者の日本百名山の全山行記録一覧はこちら

目次

まずは日本百名山を知る

①ロケーションを把握する

意外とわかってない人も多いのではないでしょうか。「どこの地域にいくつあるのか?」「自分の住んでいる地域から近いとことは?」等ある程度分かっていないと計画的に行けないです。まずはWikipediaなどでいいので、山の場所を知りましょう。

②山行計画を作っておく

各山の山行計画を前もって作っておきます。一つの山に複数ルートの候補があるならばそれらも作っておきます。筆者は登山アプリを使用して作っています。日帰りで行けそうか?体力的に今の状態で大丈夫?テント泊や小屋泊が必要か等あらかじめ作っておくとかなり楽です。

筆者がヤマレコで作った山行計画の一部。
現在も、行く候補の山を見つけたら山行計画を作って「山のネタ帳」のように扱っています。

③アクセスを調べておく

車で行くなら駐車場の場所を調べますこの時ある程度キャパシティなども把握して上で作った山行計画にメモておきます。そして必ずGooglemap等で登録しておく、余裕があったら近隣の温泉なども登録します。
公共交通機関で行くなら路線や時刻表などが載っているサイトなどの情報を山行計画にメモっておきます。

筆者のGoogleMapの登録地点。
ここに登録された地点のほとんどは実際に行っています。地域ごとにリストを分けています。

④ざっくりと行く計画をイメージしておく

以上③までの事を調べると、行き方のイメージができると思います。
「家から日帰りで行こう」「一泊二日で2座まとめていこう」「この2座はテント泊で縦走」などある程度イメージができているものは山行計画などにメモしておきます。

あとは行く直前に調べておいたことを、交通状況やルートがここは通っているか等チェックするだけです。
筆者は百名山に限らず今でもやってます。※今はプラスしてメモにメインの目的(稜線歩きが良さそう、紅葉等)を書いておきます。そうしないとこの山何がいいんだっけ?となります。

完登を目指す為の心構え“百名山との向き合い方”

いつでも行けるようにしておく

山の道具や服装なども、まとめておいていつでもすぐ出せるようにしておきます。
着替えや、下山後に温泉に行くためのグッズなども常にまとめておきます。
下調べは前項で述べた通りのことをしておきます。
思いついたら煩わしいことなくすぐ行けるようにすると、ストレスもなく忙しいときも余裕をもって出かけられます。
明日のMTGがなくなったし、天気も良いから、有給取得していこうといったことも可能にします。

行く山はなるべく直前に決める

日帰り圏内であれば、前日もしくは前々日に行く山を決めます。台風などの悪天候を避け、直前の天気予報の良い山域から行く山をチョイスします。全体的に悪ければいく事自体を諦めます。
遠征もゴールデンウィークなど休みが確定しているならば、直前までは決めません。有給を取得したり公共施設や交通など予約が必要な場合もチェックはしておいて寸前まで粘ります。そうすることで確度が上がります。
また、天気がいい局面が多いので、山行の満足度も高く無理のない登山が可能になります。
前項で述べた①~④までの事が出来ていれば、ある程度調べられているので、それを軽くチェックするだけです。

登れるうちに登る

活火山で火山警戒レベルが上がると登れなくなる山があります。代表的なのは浅間山(前掛山)1、北アルプスの焼岳、九州の阿蘇山などです。個人的には富士山も噴火が考えられると思っています、もったいぶらないで行った方が良いです。気象庁の噴火警戒のページなどで確認してください。

また、台風や土砂災害に影響で登山道閉鎖、アクセスそのものが不可能になったり、困難になる恐れがある山域も要注意です。山体が脆弱な利尻山、土砂災害、台風被害でアクセスが困難になる恐れがある南アルプス全般、特に深部(聖岳、光岳)などがこれにあたると思います。

2023年の芝沢ゲート先の林道の崩落

2023年の芝沢ゲート先の林道の崩落。
光岳の山行時。こと時は川筋を行くことで易老渡まで行くことができたが・・・・

様々な登山スタイルが出来るようにする

無尽蔵の体力があれば、全ての百名山を日帰りで行くことは可能ですが、多くの人にとっては難しいと思います。

小屋泊はもちろん、テント泊までは出来るようにした方が良いです。できたら雪山もできるようにしましょう。冬に行けると山の選択肢が段違いに増えます。これらのスタイルは、ちょっとした体力と道具さえあれば特別難しいスキルが要ることもないです。わからないことはほぼネットで簡単に調べることができます。あとは実戦で少しづつ自分なりにアップデートしていけば良いだけです。
ちなみに、焼岳の南峰(最高峰)は基本的に立ち入り禁止ですが、積雪期だと登頂可能になります。無雪期に行けないピークやルートにも行けるようになるので雪山に関しては見返りが大きいです。

旭岳

北海道「旭岳」。筆者は100座中15座以上、積雪時に登頂しています。雪山は無雪期にはない満たされ感があります。

効率よくまとめて登れる山を意識する

例えば日光白根山と男体山は同じ日光国立公園内でお互いに近いです。こういった山は1泊2日でまとめて登ったりすることができます。また、盛岡市周辺には岩手山、八幡平、早池峰山が近いです。北アルプスの鹿島槍ヶ岳と五竜岳は縦走しやすい等、1回の山旅で登ることを意識すると効率良く行けます。
ですが、まとめて行こうと意識しすぎてなかなか時間が作れず行けないというのももったいないので、そういう時は割り切って別々で行っちゃった方が良いです。

豆知識

知っておくといい豆知識です。

噴火警戒レベルがある百名山

  • 大雪山
  • 十勝岳
  • 雌阿寒岳
  • 岩木山
  • 八甲田山
  • 岩手山
  • 蔵王山
  • 鳥海山
  • 磐梯山
  • 安達太良山
  • 那須岳
  • 日光白根山
  • 浅間山
  • 草津白根山
  • 富士山
  • 焼岳
  • 木曽御嶽山
  • 乗鞍山
  • 白山
  • 九重山
  • 阿蘇山
  • 霧島山

詳しくは気象庁のページをみてください。

極端に短い距離で登頂可能な山

  • 岩木山
  • 霧ヶ峰
  • 美ヶ原
  • 伊吹山
  • 大台ケ原

こういった山はほかの山に登った後に行くなど1日2座も可能です。

一般的な雪山として親しまれている山

アルパインや高難度ではなく、厳冬期や残雪期に雪山(雪山装備で)として親しまれている山です。ちなみに、筆者の知る限りです。太字は筆者が実際雪山登山した山。

  • 雌阿寒岳
  • 羊蹄山
  • 大雪山
  • 十勝岳
  • 岩木山
  • 八甲田大岳 日本三大樹氷のひとつ
  • 八幡平
  • 岩手山
  • 鳥海山 残雪期
  • 蔵王山 日本三大樹氷のひとつ
  • 月山 4月以降の残雪期、夏スキーで有名
  • 西吾妻山 スノーモンスターが有名
  • 安達太良山
  • 磐梯山
  • 那須岳
  • 奥白根山
  • 会津駒ケ岳
  • 越後駒ケ岳 残雪期
  • 巻機山
  • 至仏山 残雪期
  • 谷川岳 渋滞するほど大人気
  • 上州武尊山 大人気
  • 金峰山
  • 四阿山
  • 浅間山
  • 荒島岳
  • 美ヶ原
  • 霧ヶ峰
  • 蓼科山
  • 赤岳
  • 焼岳
  • 木曽駒ケ岳
  • 恵那山 雪山は良いといわれている
  • 仙丈ケ岳
  • 鳳凰三山
  • 伊吹山
  • 大山

ベースキャンプ方式の複数ピークハント

1か所のキャンプ場で幕営したまま、複数の百名山を身軽で登れるタイプの山行です。(筆者の知る限り)

  • 富士見平小屋テント場を起点として「瑞牆山」と「金峰山」
  • 長衛小屋キャンプ場を起点として「甲斐駒ヶ岳」と「仙丈ケ岳」
  • 三俣山荘テント場を起点として「鷲羽岳&水晶岳」と「黒部五郎岳」

※ちなみに筆者は2番目の長衛小屋キャンプ場を起点1泊2日で初日「仙丈ケ岳」二日目「甲斐駒ヶ岳」をやったことがあります。山行記録はこちら

台風被害や土砂災害が考えられる山

これは筆者が台風被害や土砂災害でアクセスや登山道が危ういと思う山です。

  • 「聖岳」&「光岳」 芝沢ゲートまでのアクセス、芝沢ゲート先の林道
  • 「利尻岳」山頂付近の崩壊
  • 南アルプス全般アクセスまでの土砂災害

アクセス自体の難易度が高い山

これも筆者が実際体験してアクセスが面倒、厄介だと思った山です。

  • 「赤石岳」&「悪沢岳」 最寄りの登山口までマイカーが入れず、バスの予約(小屋泊が前提条件)が必要で大人気の為予約がなかなか取れず。バスも小屋も別々で予約するためそれが特に厄介。ただ、体力と時間があれば全部徒歩で可能。
  • 「幌尻岳」こちらも最寄りの登山口までマイカーが入れない、山小屋の予約が必要(こちらは小屋が取れればバスはセット)、ちなみに前泊は「とよぬか山荘」、夕飯のジンギスカンがおいしくて忘れられない!しかもお弁当(おにぎりだった記憶)付き!山行含めてすべてが快適!
  • 「宮之浦岳」離島で遠い、飛行機の予約等少々前もってやらないといけない。屋久島は天候が不安定で飛行機が着陸できないこともあるらしい。時間に余裕があるならフェリーを使った方が確実&融通はきくかもしれない。

日本百名山完登で得られるもの

日本百名山はそもそも深田久弥という一個人が雑誌の記事のために選んだ山であり、全ての人にとって名山とは限らないと思ってます。山自体は一般登山道も整備されており、ちょっとした体力があれば誰でも登ることができる山です。
なので、百名山自体完登することで得られるのはちょっとした達成感ぐらいだと思います。
個人的に百名山完登を通して以下の事は非常に有意義だと思っています。

  • 目標になる
  • 山旅に慣れる、旅のスキルが身につく
  • 日本の山をダイジェストで把握できる
  • 山旅を通して、山以外の魅力を知ることができる

1は自分にとってどういう山が好きなのかわからない人にとって、とりあえずの目標になると思います。とりあえず百名山を登って自分なりに良い山を見つける手掛かりになると思います。2は山に出かけること自体が効率よくなり、行ったことがない地域でも何となくのカンが働くようになります。4に関しては例えば、例えば広島の厳島神社や宮城県の松島など、山のついでで寄ったのが山以上に感動したなど、本来自ら行かないようなロケーションを見つけられました。こういった理由から百名山をやってよかったと思ってます。
思ってますが・・・これから200名山、や300名山、何とか名山を目指そうとは思いません・・・

  1. 25年11月現在警戒レベル2の為登れません ↩︎
日本百名山完登の為の思考

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